つつむめる名やもり出でむ引きかはし
かくほころぶる中の衣に
- 歌の意味
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包み隠しているらしい浮名も、漏れ出てしまうだろうか。互いに引っ張り合って、こうして綻びてしまった中の衣によって。
- 鑑賞
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第一部 紅葉賀
夜が更けたころ、頭中将は太刀を抜くふりをして源氏と源典侍のもとへ押し入る。源氏は相手を年配の修理大夫かと疑って屏風の後ろへ隠れるが、やがて頭中将だと気づき、太刀を持つ腕を強くつねる。頭中将もこらえきれずに笑い出し、互いに正体を認め合った二人は、直衣を取り合ってもみ合ううちに、綻びを引き裂いてしまう。その破れた衣を前にして頭中将が詠んだのがこの歌である。源氏はただちに返歌をし、二人は乱れた姿のまま連れ立って出ていく。
「つつむ」は衣に包む意と、秘密を包み隠す意を掛けている。「中の衣」は下着と上着の間に着る衣のことで、「中」に二人の「仲」を響かせている。「ほころぶ」は衣の縫い目がほどける意で、「つつむ」「衣」とともに縁語として働く。破れた衣という目の前の事実だけを材料にして、秘密が漏れるという含みを組み立てており、ふざけ合いの中の即興でありながら、歌としての作りは正確である。
つつむ:衣に包む。秘密を隠す意を掛ける。
もり出づ:漏れ出る。
引きかはす:互いに引っ張り合う。
ほころぶ:縫い目がほどける。
中の衣:下着と上着の間に着る衣。「仲」を掛ける。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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