人妻はあなわづらはし東屋の
真屋のあまりも馴れじとぞ思ふ
- 歌の意味
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人妻というのはああ面倒だ。東屋の真屋の軒端ではないが、あまり慣れ親しむまいと思う。
- 鑑賞
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第一部 紅葉賀
夕立の後の涼しい宵、源氏は温明殿のあたりを歩いていて、源典侍が琵琶を弾いているのに行き合う。源氏が催馬楽「東屋」を低く口ずさんで近づくと、源典侍はその後半を歌い添えて応じてみせた。続けて源典侍が「立ち濡るる」の歌で嘆いてみせたので、源氏は持て余し、突き放すようにこの歌を返す。そのまま立ち去ろうとも思ったが、あまりに無愛想かと思い直し、軽口を交わして相手に付き合う。この一部始終を、かねて源氏の秘密を暴こうとしていた頭中将がうかがっていた。
「東屋」「真屋」「あまり」は、いずれも催馬楽「東屋」の詞章から取られた語で、二人のやり取りが終始この歌謡の上に組み立てられていることを示す。「真屋のあまり」は軒端の意で、「あまり」に「あまりに、むやみに」の意を掛ける。「人妻は」と切り出すのも、催馬楽の末尾に人妻の語があるのを受けたもので、深入りはしないという断りを、相手が歌った歌謡の言葉そのままで返している。滑稽な場面でありながら、引歌と掛詞の運びは緻密である。
人妻:他人の妻。催馬楽「東屋」の詞章による。
あなわづらはし:ああ面倒だ。
真屋:前後に軒をおろした建物。
あまり:軒端。「あまりに、むやみに」を掛ける。
馴る:慣れ親しむ。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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