かくれなきものと知る知る夏衣
きたるをうすき心とぞ見る
- 歌の意味
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隠しようのないものと知りながら、薄い夏衣を着てここへ来た、その薄情さと私は見る。
- 鑑賞
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第一部 紅葉賀
頭中将の「つつむめる」の歌を受けて、源氏がその場で返したのがこの歌である。隠しきれないと分かっていながら薄い夏衣を着てここへ来た、その薄情さこそ問題だと言い返している。二人は互いに恨みっこなしのしどけない姿にされたまま、連れ立って引き上げていく。翌朝、源典侍から現場に残された指貫や帯が届けられ、さらに帯と端袖をめぐるやり取りが続くことになる。
「かくれなき」は隠しようがないの意で、相手の「つつむ」を正面から打ち消している。「きたる」は「着たる」と「来たる」を掛け、薄い衣を着ていることと、この場へやって来たことの両方を指す。「うすき」は衣の薄さと心の薄情さを掛けており、一首のうちに掛詞が二重に置かれている。相手が縁語で組み立てたのに対し、こちらは掛詞で切り返しており、二人の技量が拮抗していることがそのまま示された一首である。
かくれなし:隠しようがない。
夏衣:夏に着る薄い衣。
きたる:「着たる」と「来たる」を掛ける。
うすき:衣の薄さと、心の薄情さを掛ける。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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