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笹分けば人やとがめむいつとなく
駒なつくめる森の木隠れ

歌の意味
笹を分けて入っていったら、人がとがめるだろう。いつも馬が慣れ親しんでいるらしい、あの森の木陰では。
鑑賞
第一部 紅葉賀

 源典侍の「君し来ば」の歌を受けて、源氏が返したのがこの歌である。誘いに応じるふりをしながら、あなたには他にも通う男がいるのだから、私が近づけば角が立つだろう、とかわしている。源典侍は気を悪くする様子もなく、なおも源氏に言い寄り続ける。やがてこの二人の逢瀬に頭中将が乱入し、騒動が起こることになる。

 「笹分けば」は笹を分けて入っていくことで、相手のもとを訪れることをたとえる。「駒」は他の男を、「森の木隠れ」は源典侍自身を指す。相手の歌の「駒」をそのまま受け取り、贈答歌として語を返しながら、意味を「乗り慣れた自分の馬」から「他の男の馬」へずらしている点が巧みである。断りの歌でありながら角を立てず、笑いに転じてしまう手際に、源氏の余裕が表れている。

笹分く:笹を分けて分け入る。訪れることのたとえ。
とがむ:非難する、咎め立てする。
駒:馬。ここでは他の男。
木隠れ:木の陰。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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