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いづれぞと露のやどりを分かむまに
小笹が原に風もこそ吹け

歌の意味
どれがそれかと、露の宿った先を見分けているうちに、小笹の原に風が吹いてしまうかもしれない。
鑑賞
第一部 花宴

 朧月夜の返歌に感心した源氏は、名を明かさないままでは探しようがないと言い、なおも素性を尋ねようとする。しかし夜は明けかかり、人が起き出す気配もあって長居はできない。急ぐ気持ちを込めて詠まれたのがこの歌である。結局二人は名を明かさぬまま扇だけを取り替えて別れ、源氏はその後しばらく、相手が誰であるかを突きとめられずに悩むことになる。

 「露のやどり」は露が置いた場所のことで、相手の歌の「草の原」を受けている。「小笹が原」は小さな笹の茂る原で、大勢いる姉妹の中から一人を見分けることの難しさをたとえる。「風もこそ吹け」は風が吹いてしまっては困るという意で、露が散るように機会が失われることを恐れる言い方である。相手の用いた草の景をそのまま引き継ぎながら、名を知りたいという実際の用件を運んでおり、贈答歌としての作りが行き届いている。

いづれぞと:どれがそれかと。
露のやどり:露の置いた場所。
分く:見分ける。
小笹が原:小さな笹の茂る原。
風もこそ吹け:風が吹いては困る。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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