世に知らぬ心地こそすれ有明の
月のゆくへを空にまがへて
- 歌の意味
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この世で経験したことのない心地がする。有明の月の行方を、空の中で見失ってしまって。
- 鑑賞
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第一部 花宴
あの夜の女が誰であったのか、源氏は手がかりを求めて弘徽殿のあたりを探らせるが、確かなことは分からない。取り交わした扇には霞んだ月を水に映した絵が描かれており、それを眺めながら思いを募らせる。この歌は、その扇に書きつけて手もとに置いたものである。源氏はこの後、二条院へ赴いて紫の上の成長ぶりに目を細めるが、心の底ではなお有明の女のことを思い続けている。
「有明の月」は夜明けまで空に残る月で、あの夜の女を指す。「空にまがへて」は空の中で紛らわしくなり見失う意で、姿を消した相手をそのまま月の運行に重ねている。「世に知らぬ心地」という直截な言い方が上の句に置かれ、下の句で景に転じる構成になっており、名も知れぬ相手への執着が、月を見失うという一つの像に収められている。花宴巻を貫く月の主題が、ここで最も端的に現れる。
世に知らぬ:この世で経験したことのない。
有明の月:夜明けまで空に残る月。
ゆくへ:行き先。
まがふ:入り混じって見分けがつかなくなる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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