袖濡るる恋路とかつは知りながら
おりたつ田子のみづからぞ憂き
- 歌の意味
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袖が濡れる恋の道だと一方では知りながら、その泥に下り立つ田人である自分こそがつらい。
- 鑑賞
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第一部 葵
車争いの後、六条御息所の心はいっそう乱れ、体調も優れないため、他所へ移って修法を受けている。源氏はそれを聞いて見舞いに訪れ、葵の上の容態を案じつつ、心ならずも足が遠のいたことを詫びる。翌日、葵の上の病が急に重くなったという文だけが届き、御息所はいつもの口実だろうと思いながら、この歌を返す。源氏はその筆跡の見事さに感心しつつ、割り切れない思いを抱く。
「恋路」は恋の道であると同時に「泥」を掛けており、袖が濡れるという表現に結びつく。「田子」は田で働く人のことで、自ら泥に足を踏み入れる者を指す。誰に強いられたのでもなく自分から下り立ったのだという言い方で、恨みを相手ではなく自分自身に向けている。注釈書に物語第一の歌と評されたこともある一首で、この人物の自意識の深さがよく表れている。
かつは:一方では。
恋路:恋の道。「泥」を掛ける。
おりたつ:下りて足を踏み入れる。
田子:田で働く人。
みづから:自分自身。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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