嘆きわび空に乱るるわが魂を
結びとどめよしたがへのつま
- 歌の意味
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嘆きに耐えかねて空にさまよい出るわたしの魂を、下前の褄を結んで留めてください。
- 鑑賞
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第一部 葵
葵の上は物の怪に苦しめられ、産み月を迎えて危うい状態が続く。加持の験者にも従わない執念深い物の怪が一つあり、それが少し休ませてほしいと言い、源氏に話があると告げる。几帳の内に招き入れられた源氏の前で、葵の上の姿のまま、しかし別人の声で詠まれたのがこの歌である。源氏はその声と気配から、相手が六条御息所であることを知って慄然とする。
「したがへのつま」は着物の下前の褄のことで、魂が身を離れるとき、褄を結んで引き留めるという当時の俗信を踏まえている。「乱るる」は魂が散り乱れる意で、正気を失った状態を表す。憎しみではなく、自分の魂を留めてくれと救いを求める内容になっている点が、この場面を単なる怨霊譚から遠ざけている。物の怪として詠まれながら、なお相手にすがる心が消えていないことが、この人物の悲劇を深くしている。
嘆きわぶ:嘆きに耐えかねる。
空に乱るる:空にさまよい散る。
魂:たましい。身を離れてさまようとされた。
したがへのつま:着物の下前の褄。魂を留めるために結ぶとされた。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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