のぼりぬる煙はそれとわかねども
なべて雲居のあはれなるかな
- 歌の意味
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立ちのぼった煙がどれとも見分けはつかないけれど、空一面がしみじみと胸に迫ることよ。
- 鑑賞
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第一部 葵
葵の上は男児を出産した後、いったん落ち着いたかに見えたが、源氏が参内した留守に急変し、そのまま息を引き取る。人々は二、三日そのままに見守るが、やがて葬送となり、鳥辺野へ運ばれる。夜通しの儀式を終え、八月二十日過ぎの有明の空のもとを帰る道すがら、源氏が空を眺めながら詠んだのがこの歌である。この後、源氏は左大臣邸にとどまり、喪に服する日々を送る。
「のぼりぬる煙」は火葬の煙で、それがどれとも見分けられないという事実をそのまま述べている。「雲居」は雲のある空のことで、亡き人の行方を空全体に広げて捉えている。特定できないからこそ空のすべてが悲しいという転換によって、個人の死が広がりを持った感慨へと移されている。哀傷の歌でありながら、感情を直接には述べず、景の把握だけで通している点が印象的である。
のぼりぬる煙:火葬の煙。
わかぬ:見分けがつかない。
なべて:総じて、すべて。
雲居:雲のある空。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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