人の世をあはれと聞くも露けきに
後るる袖を思ひこそやれ
- 歌の意味
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人の世のはかなさを伝え聞くにつけても涙がちであるのに、後に残された方の袖のことを思いやっております。
- 鑑賞
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第一部 葵
深まる秋の中、慣れない独り寝に明かしかねた源氏のもとへ、朝霧の立ちこめる朝、菊の枝に結びつけた文が届けられる。濃い青鈍色の紙に書かれたそれは、六条御息所の手であった。この歌を見た源氏は、いつにも増して見事な筆づかいだと思いながらも、この人が弔いを寄こすことを白々しく感じずにはいられない。返事を書くべきか長く迷った末、源氏は返歌を送ることになる。
「人の世」は人の世のはかなさを指し、葵の上の死を直接には言わずに述べている。「露けき」は涙がちであることで、朝霧の景とも呼応する。「後るる袖」は後に残された源氏を指し、遺族への型どおりの弔問の形を守っている。しかし物の怪の一件を知る源氏にとって、この整った弔問はかえって痛切に響く。歌そのものに非のうちどころがないことが、この場面をいっそう重くしている。
人の世:人の世のはかなさ。
露けし:涙がちである。
後るる:後に残される、先立たれる。
思ひやる:思いをはせる、察する。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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