浅みにや人はおりたつわが方は
身もそぼつまで深き恋路を
- 歌の意味
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あなたは浅い所に下り立っているのだろうか。私のほうは、身までびしょ濡れになるほど深い恋の道なのに。
- 鑑賞
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第一部 葵
六条御息所の歌に対して、源氏がすっかり暗くなってから返したのがこの歌である。袖が濡れるだけとはずいぶん浅い、こちらは身体ごと濡れるほど深いのだと言い返している。しかしこの言葉が御息所の心を慰めることはなく、二人の隔たりは埋まらないままである。この頃から御息所の魂は身を離れてさまよいはじめ、やがて葵の上のもとに現れることになる。
「浅み」は浅い所の意で、相手の「おりたつ」をそのまま受け取っている。「そぼつ」はびしょ濡れになることで、袖だけが濡れるという相手の言葉に対し、身体ごと濡れるとして深さを競う形になっている。恋の深さを水の深浅で比べるのは常套の趣向だが、相手が自らのつらさを述べたのに対し、こちらは自分の思いの深さを主張しており、答えになっていない。二人の心がすれ違い続けていることが、贈答の形そのものに表れている。
浅み:浅い所。
おりたつ:下りて足を踏み入れる。
そぼつ:びしょ濡れになる。
恋路:恋の道。「泥」を掛ける。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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