- 歌の意味
- 草の枯れた垣根に残っている撫子を、別れた秋の形見と見ることだ。
- 鑑賞
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第一部 葵
三位中将が帰った後、源氏は枯れた下草の中に咲き残った竜胆や撫子を折らせ、若君の乳母である宰相の君に託して、大宮のもとへ届けさせる。添えられたのがこの歌である。撫子は幼い若君をたとえたもので、母を失った子を形見として見ているという内容になっている。これを受けた大宮は、こらえきれずに涙を流し、返歌を送る。
「草枯れのまがき」は草の枯れた垣根で、荒涼とした季節の景をそのまま示している。「撫子」は幼子をたとえる語として古くから用いられ、ここでは生まれたばかりの若君を指す。「別れし秋」は葵の上を失った秋のことで、季節と別れが重ねられている。枯れた景の中に一つだけ残る花という構図が、母を失って残された子の姿とそのまま重なり、説明を加えずに事情のすべてを言い当てている。
草枯れ:草が枯れること。
まがき:柴や竹で粗く編んだ垣根。
撫子:幼子のたとえ。
かたみ:形見。亡き人をしのぶよすが。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌