- 歌の意味
- あなたがいなくなって塵の積もった床の上で、露を払いながら幾夜を寝ずに過ごしたことだろう。
- 鑑賞
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第一部 葵
葵の上の手習いの中に、霜の白さを詠んだ古歌の一節が書きつけられていた。その傍らに源氏が書き添えたのがこの歌である。手習いの紙には、先日贈った花が枯れたまま混じっていた。左大臣はこれを大宮にも見せ、娘を失った悲しみと、源氏が去っていくことのやるせなさを語って涙にくれる。
「常夏」は撫子の別名で、床の「とこ」を掛けるのが古くからの用法である。ここでは共寝の床を指し、塵が積もるという言い方で、人のいない寝床の様子を表している。「露うち払ひ」は塵や露を払う所作であるとともに、涙を払うことをも含む。撫子の縁語を用いながら、寝床という具体的な場所に悲しみを収めており、若君を撫子にたとえた先の歌とも呼応する。
君なくて:あなたがいなくなって。
常夏:撫子の別名。「床」を掛ける。
露うち払ふ:露や塵を払う。涙を払う意も含む。
いく夜:幾晩。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌