- 歌の意味
- 幾年もの間、今日という日に新しく改めてきた晴れ着だが、着ると涙が降るような心地がする。
- 鑑賞
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第一部 葵
年が改まり、元日、源氏は院に参上し、内裏や東宮にも参賀を済ませてから、左大臣邸へ赴く。左大臣は年始の言葉もそこそこに昔のことばかりを口にし、こらえきれずに涙ぐむ。大宮からは、今日ばかりは喪の色を脱いでほしいと言って、心を尽くした装束が贈られた。着替えた源氏が大宮への返事に添えたのがこの歌である。大宮はこれに返歌を送り、葵巻はここで閉じられる。
「あまた年」は幾年もの間の意で、毎年この家で正月の装束を改めてきたことを指す。「色衣」は喪服に対する晴れ着で、色のある衣のことである。「ふる」は涙が降ることに、年月を経る意の「古る」を掛けており、次の大宮の歌へつながる語となっている。晴れ着に着替えるという祝いの所作が、そのまま亡き人を思う契機になるという構成で、新年の場面を悲嘆の場面に転じている。
あまた年:幾年もの間。
改む:新しくする、着替える。
色衣:色のある晴れ着。喪服に対していう。
ふる:涙が降る。「古る」を掛ける。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌