あやなくも隔てけるかな夜をかさね
さすがに馴れし夜の衣を
- 歌の意味
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わけもなく隔てを置いていたことだ。幾夜も重ねて、さすがに馴れ親しんできた夜の衣であるのに。
- 鑑賞
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第一部 葵
二条院に戻った源氏は、すっかり成人した紫の上を前にして、これまでとは違う思いを抱くようになる。碁を打ち偏つぎをして日を過ごすうちに堪えがたくなり、ある朝、女君だけがいつまでも起き出さないということがあった。源氏は硯の箱を御帳の内に差し入れて出ていき、その中の結び文にこの歌が書きつけられていた。紫の上はこれを読んで愕然とし、以後しばらく源氏に打ち解けなくなる。
「あやなくも」はわけもなく、意味もなくの意である。「夜の衣」は寝るときに掛ける衣で、共寝を表す語として用いられる。「隔てけるかな」は、これまで隔てを置いていたことを悔やむ言い方で、長く同じ床にいながら手を出さずにいたことを指している。相手の心の準備を一切考慮しない一方的な内容であり、この贈答に返歌がないこと自体が、紫の上の受けた衝撃の大きさを物語っている。
あやなし:わけもない、筋が通らない。
隔つ:間に隔てを置く。
夜をかさね:幾夜も重ねて。
夜の衣:寝るときに掛ける衣。共寝を表す。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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