- 歌の意味
- 新しい年だともかまわず降りつづけるものは、年老いた者の涙なのだった。
- 鑑賞
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第一部 葵
源氏の「あまた年」の歌を受けて、大宮が返したのがこの歌である。年が改まっても涙だけは変わらず流れ続けるという内容で、娘を失った母の悲しみが年月では癒えないことを述べている。物語はこの一首をもって葵巻を閉じ、次の賢木巻へと移っていく。源氏と左大臣家との縁は若君を通じてなお続くが、二人の女性の物語はここでひとまず区切りを迎える。
「ふる」は相手の歌の語をそのまま受け取り、涙が降る意と、年を経て古びる意の「古る」を掛けている。「ふりぬる人」は年老いた者の意で、自らを指す。同じ「ふる」の語を二度用い、しかも異なる意味で重ねることで、新年という時の改まりに対して、変わらないものだけを取り出してみせている。祝賀の場に置かれた歌でありながら、慶事の語を一つも用いていない点が印象的である。
新しき年:新年。
いはず:かまわず、おかまいなしに。
ふる:降る。「古る」を掛ける。
ふりぬる人:年老いた人。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌