- 歌の意味
- この神垣にはそれと示す杉もないのに、どう見間違えて榊を折ってこられたのですか。
- 鑑賞
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第一部 賢木
六条御息所は源氏との関係を断ち、斎宮となった娘に付き添って伊勢へ下ることを決意する。九月七日ごろ、出立を間近に控えた野の宮を源氏が訪ねる。人づてのやり取りばかりで対面しようとしない御息所に、源氏は簀子に上がり、手にしていた榊の枝を御簾の内へ差し入れて、変わらぬ心の証しだと言う。それを受けて御息所が返したのがこの歌である。
「神垣」は神域を囲う垣で、野の宮の場をそのまま指す。「しるしの杉」は三輪山の神杉の故事に基づき、訪ねるべき目印を意味する。ここには目印などないのに、なぜ榊を折って来たのかと問う形で、来訪そのものを穏やかに拒んでいる。神域の景をすべて拒絶の論理に組み替えており、この人らしい隙のない切り返しである。
神垣:神域を囲う垣。
しるしの杉:訪ねる目印となる杉。三輪山の故事による。
まがふ:見間違える。
榊:神事に用いる常緑樹。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌