- 歌の意味
- 明け方の別れはいつも涙がちなものだが、これはこの世に知らないほどの秋の空であることよ。
- 鑑賞
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第一部 賢木
夜どおし語り合ううちに、空はしだいに明けていく。互いに思い残すことなく言葉を交わしたが、二人を隔てるものはついに消えなかった。出て行きかねて御息所の手を取ったまま、源氏が詠んだのがこの歌である。御息所はこれに返歌をし、源氏は明けきった空の中を、露に濡れながら帰っていく。この野の宮の一夜は、二人の関係の最後の対面となる。
「暁の別れ」は後朝の別れのことで、常に涙を伴うものとされてきた。「露けき」は涙がちであることで、暁の露の景と重なる。「世に知らぬ」は、これまで経験したことがないほどのという意で、常套の型を踏まえつつ、この一度だけを特別なものとして切り離している。定型の中に一語だけ破格の強さを置くことで、二度と会えない別れであることを言い当てている。
暁の別れ:明け方の別れ。後朝の別れ。
露けし:涙がちである。
こは:これは。
世に知らぬ:この世で経験したことのない。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌