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八洲もる国つ御神も心あらば
飽かぬ別れの仲をことわれ

歌の意味
この国土を守る国つ神にも心があるのなら、名残の尽きないこの別れの仲を裁いてほしい。
鑑賞
第一部 賢木

 九月十六日、斎宮は桂川で御禊を行い、いよいよ宮中へ向かうことになる。その出発のときに、源氏から例のごとく尽きせぬ言葉が届けられた。木綿につけて贈られた文に添えられていたのがこの歌である。慌ただしい最中ながら返事があり、斎宮のものは女別当が代筆した。源氏は見送りに参内したい気持ちを抑え、二条院で所在なく物思いにふけっている。

 「八洲」は日本の国土のことで、「もる」は守るの意である。「国つ神」は土地の神々を指し、伊勢へ下る旅路と斎宮という立場に配慮した語選びになっている。「ことわる」は道理を明らかにする、裁くの意である。神の前で別れを訴えるという形をとることで、公の場に私情を持ち込みながら、その私情を神事の言葉で包んでいる。

八洲:日本の国土。
もる:守る。
国つ神:その土地の神。
飽かぬ:名残の尽きない。
ことわる:道理を明らかにする、裁く。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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