- 歌の意味
- 昔のことを今日は口にすまいとこらえているけれど、心のうちではやはり悲しく思われる。
- 鑑賞
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第一部 賢木
斎宮に付き添って参内した御息所は、輿に乗るにつけても、亡き父大臣が限りなく大切に育ててくれた昔を思い返す。十六で東宮に嫁ぎ、二十で先立たれ、三十になって再び宮中を見ることになった。その来し方を思いながら、人知れず詠まれたのがこの歌である。この後、斎宮は帝から別れの櫛を賜り、一行は伊勢へ向けて出立する。
「そのかみ」は昔、その当時の意である。「かけじ」は言葉に出すまい、心にかけまいという意で、こらえる姿勢を示す。「忍ぶれど」でその抑制を述べ、下の句で結局こらえきれないと転じる構成になっている。華やかな儀式の場にありながら、誰にも打ち明けられない感慨を一人で抱えている姿が、そのまま歌の形になっている。
そのかみ:昔、その当時。
かく:言葉に出す、心にかける。
忍ぶ:こらえる、我慢する。
心のうち:内心。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌