- 歌の意味
- 一面に凍りついた池は鏡のように澄んでいるのに、見慣れた姿が映らないのが悲しい。
- 鑑賞
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第一部 賢木
兵部卿宮の「蔭ひろみ」の歌を受けて、源氏が思うままに返したのがこの歌である。庭の池は隙間なく凍りついていた。本文はこの歌を、あまりに若々しいと評している。この後、王命婦も一首を詠み、藤壺の三条宮への移転は、儀式こそ変わらないものの、ひどく心細いものとなる。
「さえわたる」は一面に冷えきって凍ることである。「池の鏡」は氷の張った池面を鏡にたとえた語で、鏡は姿を映すものであるから「影」を導く。「見なれし影」は見慣れた姿の意で、故院を指す。澄みきった鏡があるのに映すべき姿がないという構図で喪失を述べており、着想は明快だが、悲しみの表し方としては直截にすぎるという評を本文自身が下している点が興味深い。
さえわたる:一面に冷えきる、凍りつく。
池の鏡:氷の張った池面。
さやけし:澄んで明らかである。
影:姿、映る姿。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌