- 歌の意味
- 年が暮れて岩間の泉の水も凍り閉ざされ、見慣れた人の姿も薄れていくことよ。
- 鑑賞
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第一部 賢木
源氏の歌に続けて、藤壺に仕える王命婦が詠んだのがこの歌である。このほかにも歌は多く交わされたが、書き続けるほどのことでもないと本文は述べている。藤壺は住み慣れた院を離れて三条の宮へ移り、久しく里住みを絶っていた年月を思い返す。年が改まっても世の中は静かで、源氏も物憂く籠もりがちに過ごす。
「岩井」は岩の間から湧く泉のことである。「こほりとぢ」は氷で閉ざされる意で、源氏の歌の凍った池を受け継いでいる。「あせもゆく」は色が褪せていく、薄れていくの意で、水面に映る影が凍りついて見えなくなることと、記憶の中の姿が薄れていくこととを重ねている。主人に仕える者の立場から、故院の記憶が失われていくことを惜しんだ一首である。
年暮れて:年が終わって。
岩井:岩の間から湧き出る泉。
こほりとづ:氷で閉ざされる。
人影:人の姿。
あす:色が褪せる、薄れる。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌