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長き世の恨みを人に残しても
かつは心をあだと知らなむ

歌の意味
来世まで続く恨みを私に残すとしても、一方ではご自分の心こそ移ろいやすいものだと知ってほしい。
鑑賞
第一部 賢木

 源氏の「逢ふことの」の歌を受けて、藤壺がため息とともに返したのがこの歌である。来世までの嘆きを言い立てる相手に対し、その心こそあてにならないと切り返している。言い逃れるような言い方ではあったが、源氏はどう応じることもできず、我を失ったようにして退出する。この後、藤壺は出家を決意していくことになる。

 「長き世」は相手の歌の「幾世」を受けたもので、来世まで続く長い時間を指す。「恨みを人に残す」は、恨みを相手である自分に負わせるという意である。「あだ」は誠意がない、移ろいやすいの意で、来世まで変わらぬと訴える相手の言葉を、その根拠から疑う形になっている。追い詰められた立場にありながら、相手の論理の弱点を的確に突いており、この人の理性の強さが表れた一首である。

長き世:来世まで続く長い時間。
恨み:うらみ。
かつは:一方では。
あだ:誠意がない、移ろいやすい。
知らなむ:知ってほしい。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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