- 歌の意味
- 風が吹けば真っ先に乱れるのです。色の変わった浅茅の露にかかっている蜘蛛の糸は。
- 鑑賞
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第一部 賢木
源氏の「浅茅生の」の歌を受けて、紫の上が白い色紙に書き送ったのがこの歌である。ただこれだけを記した簡潔な返しであったが、源氏はその筆づかいがいよいよ上達したことを独りごちて、いとしく思いながらほほ笑む。常に文を交わしているため、その手は源氏自身によく似て、そこにもう少し優美で女らしいところが加わっていた。
「ささがに」は蜘蛛、また蜘蛛の糸を指す古語である。「浅茅が露」は相手の歌の語をそのまま受け取り、贈答歌の作法を守っている。「色変はる」は草が枯れて色を変えることで、季節の推移とともに変わりやすい人の心をも含む。露にかかった蜘蛛の糸という、この上なく脆いものを自らにたとえており、頼りない立場を訴えながら恨み言は一切用いていない。
風吹けば:風が吹くと。
乱る:乱れる。
色変はる:草が枯れて色が変わる。心変わりの意を含む。
浅茅:丈の低い茅。
ささがに:蜘蛛。蜘蛛の糸。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌