そのかみやいかがはありし木綿欅
心にかけてしのぶらむゆゑ
- 歌の意味
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あの昔とはどのようなものだったのでしょう。木綿欅を心にかけて偲んでおられるという、そのわけは。
- 鑑賞
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第一部 賢木
源氏の「かけまくは」の歌を受けて、朝顔の斎院が木綿の片端に書き送ったのがこの歌である。昔の秋に何かがあったかのように言うが、そのようなことがあっただろうかと、心当たりのないふりをして受け流している。源氏はその筆が細やかではないものの、才気があって草書なども上達したと見て取り、朝顔本人もさらに成長しているだろうと想像を巡らせる。
「そのかみ」は相手の歌の語をそのまま受け取り、贈答歌として言葉を返している。「木綿欅」も同様である。「いかがはありし」はどうであっただろうかという反語的な問いで、二人の間に特別な過去などなかったと暗に示す働きをする。相手の用いた神事の語をそのまま用いながら、そこに込められた恋の含みだけを外して返しており、拒絶の姿勢を崩さないこの人らしい一首である。
そのかみ:昔、その当時。
いかがはありし:どのようであっただろうか。
木綿欅:神事で肩にかける木綿の襷。
心にかく:心にとめる。
しのぶ:懐かしく思い出す。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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