月影は見し世の秋に変はらぬを
隔つる霧のつらくもあるかな
- 歌の意味
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月の光は昔見た秋と変わらないのに、隔てている霧がつらく思われることよ。
- 鑑賞
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第一部 賢木
藤壺の「九重に」の歌を受けて、源氏が返したのがこの歌である。月は変わらないのに霧だけが隔てているのだと述べ、相手の側の隔てを恨む形になっている。藤壺は東宮のことばかりを気にかけ、あれこれと言い聞かせるが、幼い東宮には深くも通じない。源氏はその様子をしみじみと見守る。
「月影」は月の光のことで、相手の歌の「月」を受けている。「見し世の秋」は昔の秋の意で、故院の在世中を指す。「隔つる霧」も相手の語をそのまま引き継いでいる。変わらないもの(月)と隔てるもの(霧)を対比させ、変化の責を人ではなく霧に負わせる形をとりながら、実際には相手のつれなさを訴えており、直接の恨み言を避ける工夫になっている。
月影:月の光。
見し世:かつて見た時代。故院の在世中。
隔つる:隔てる。
つらし:冷淡でつらい。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- 前の歌
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九重に霧や隔つる雲の上の 月をはるかに思ひやるかな
- 次の歌
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木枯の吹くにつけつつ待ちし間に おぼつかなさのころも経にけり