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ながらふるほどは憂けれど行きめぐり
今日はその世に逢ふ心地して

歌の意味
生き長らえている間はつらいけれど、めぐりめぐって今日はあの当時に逢う心地がして。
鑑賞
第一部 賢木

 源氏の「別れにし」の歌を受けて、藤壺が返したのがこの歌である。この日は源氏との一件も思いから消して、雪の雫に濡れながら仏事に励んでいた。この後、十二月十日過ぎに法華八講が催され、その結願の日に藤壺は突然出家することになる。

 「ながらふる」は生き長らえるの意で、生き残ることのつらさを述べている。「行きめぐり」は年月がめぐって同じ日が来ることを指し、相手の歌の「今日は来れども」を受けている。「その世」は故院の在世中を指す。再会の期日は分からないという相手の嘆きに対し、命日という日そのものがすでに再会なのだと答える形になっており、信仰に支えられた者の応答として重みがある。

ながらふ:生き長らえる。
憂し:つらい。
行きめぐる:年月がめぐる。
その世:故院の在世中。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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