- 歌の意味
- 物思いに沈んで海松を刈る海人の住まいと見るなり、まず涙にくれる松が浦島であることよ。
- 鑑賞
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第一部 賢木
諒闇が明けて年が改まっても、藤壺の御殿は静かで人影もまばらであった。他の家々に人が集うのを横目に、源氏が深く訪ねて参上する。青鈍の御簾や几帳、薄鈍や梔子の袖口といった尼の住まいのさまを眺めながら、古歌を口ずさんだ後に詠まれたのがこの歌である。藤壺はこれに返歌をし、源氏はこらえきれず涙をこぼす。
「ながめ」は物思いにふけることと、海藻の「海松」とを掛けている。「かる」は刈るの意である。「しほたる」は潮に濡れることと涙に濡れることを掛け、海辺の縁語として働く。「松が浦島」は陸奥の歌枕で、「待つ」を含む。尼として暮らす住まいを海人の住まいに見立て、海辺の語をすべて掛詞として用いた技巧的な作りになっている。
ながめ:物思いにふけること。「海松」を掛ける。
かる:刈る。
しほたる:潮に濡れる。涙に濡れる意を掛ける。
松が浦島:陸奥の歌枕。「待つ」を含む。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌