橘の香をなつかしみほととぎす
花散る里をたづねてぞとふ
- 歌の意味
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橘の香がなつかしいので、ほととぎすは花の散るこの里を探し当てて訪ねてきたのだ。
- 鑑賞
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第一部 花散里
源氏は目指す邸に着き、まず麗景殿女御のもとで昔の物語を語り合ううちに夜が更けていく。二十日の月がさし出るころ、木立の影が深く、近くの橘が懐かしく香った。女御は年こそ重ねているが、心づかいが行き届き、上品で慕わしい様子である。そこへ先ほどの垣根のものかと思われるほととぎすが同じ声で鳴いたので、源氏がこの歌を詠んだ。この一首から巻名の「花散里」が取られている。
「橘」は昔を思い出させる花として古歌に詠まれてきたもので、故院の在世中を偲ぶこの場面にふさわしい。「ほととぎす」は先の中川の場面から続く語で、ここでも源氏自身をたとえている。「花散る里」は花の散るこの邸のことで、女御と妹の暮らす家を指す。橘とほととぎすという定型の取り合わせを用いながら、昔を語り合える人を訪ねてきたという用向きをそこに収めており、巻全体の主題をこの一首が担っている。
橘:みかんの一種。その香は昔を思い出させるものとされた。
なつかし:心引かれる、慕わしい。
ほととぎす:初夏に鳴く鳥。
花散る里:花の散る里。この邸を指す。
とふ:訪ねる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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