身はかくてさすらへぬとも君があたり
去らぬ鏡の影は離れじ
- 歌の意味
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この身はこうしてさすらうことになっても、あなたのそばを去らない鏡に映る姿は、離れることはあるまい。
- 鑑賞
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第一部 須磨
出立の日が近づき、源氏は昼過ぎまで二条院で休んだ後、帥宮や三位中将の来訪を受ける。無位無官の身であるからと無紋の直衣に着替え、鬢をかき整えようと鏡台に寄ったところ、痩せた自らの姿が映った。それを見つめる源氏に、紫の上が涙を浮かべて視線を向けたので、堪えきれずに詠んだのがこの歌である。紫の上はこれに返歌をし、柱の陰に隠れて涙を紛らわす。
「さすらふ」はあてどなくさまようことで、流離の身を述べている。「去らぬ鏡」は身から離れない鏡の意で、古歌以来の言い方を踏まえ、都に残していく鏡に自分の姿がとどまることを言う。「影」は鏡に映る姿である。身は離れても影は残るという分離の構図で、別れの場面を具体的な一つの道具に収めている。この鏡は後の場面でも紫の上の悲しみを呼び起こす小道具として働く。
さすらふ:あてどなくさまよう。
君があたり:あなたのそば。
去らぬ鏡:身から離れない鏡。
影:鏡に映る姿。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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