- 歌の意味
- 別れても、せめて姿だけでも留まるものならば、鏡を見て慰められもしましょうに。
- 鑑賞
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第一部 須磨
源氏の「身はかくて」の歌を受けて、紫の上が返したのがこの歌である。鏡に姿が残るはずはないのだから慰めにはならないと、相手の言葉をやわらかく打ち消している。柱の陰に身を隠して涙を紛らわす様子を見て、源氏は数多く見てきた女性の中でも比べるものがないとあらためて思う。この後、源氏は花散里邸へも別れの挨拶に赴く。
「影だにとまる」は相手の歌の「影」をそのまま受け取っており、贈答歌として語を引き継いでいる。「ものならば」は仮定の言い方で、実際にはそうならないことを前提としている。「慰めてまし」は慰められもしようがという反実仮想である。相手が慰めとして差し出した比喩を、成り立たない仮定として返す構成で、これまでの巻々と同じく、源氏の言葉をそのまま信じない姿勢が一貫している。
影:鏡に映る姿。
だに:せめて…だけでも。
とまる:とどまる、残る。
慰めてまし:慰められもしようが。反実仮想。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌