行きめぐりつひにすむべき月影の
しばし雲らむ空な眺めそ
- 歌の意味
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めぐりめぐって、ついには澄んで照るはずの月の光が、しばらく雲に隠れているからといって、その空を眺めて嘆かないでほしい。
- 鑑賞
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第一部 須磨
花散里の「月影の」の歌を受けて、源氏が返したのがこの歌である。今は雲に隠れているが、いずれはまた澄んで照るはずだから嘆かないでほしいと慰めている。しかし源氏自身は、そう言いながらも先の見えなさを思い、涙が心を暗くするばかりだと述べる。夜明け前の暗がりのうちに、源氏はこの邸を後にする。
「月影」は相手の歌の語をそのまま受け取り、贈答歌として言葉を返している。「すむ」は月が澄んで照ることと、その地に住むことを掛けており、都に帰り住む日を含意している。「雲らむ空な眺めそ」は雲った空を眺めて嘆くなという禁止の言い方で、これまでの巻々で繰り返されてきた自然への呼びかけの型を踏まえている。慰めの言葉に自らの帰還の願いが重ねられた一首である。
行きめぐる:めぐりめぐる。
すむ:澄む。「住む」を掛ける。
雲る:曇る。
な…そ:…してくれるな。禁止。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- 前の歌
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月影の宿れる袖はせばくとも とめても見ばやあかぬ光を
- 次の歌
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逢ふ瀬なき涙の河に沈みしや 流るる澪の初めなりけむ