- 歌の意味
- 涙の河に浮かぶ水の泡も消えてしまうでしょう。流れた後にまた逢う瀬が来るのを待たずに。
- 鑑賞
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第一部 須磨
源氏の「逢ふ瀬なき」の歌を受けて、朧月夜が返したのがこの歌である。再び逢える日を待たずに、自分は先に消えてしまうだろうと述べており、絶望の深さがそのまま表れている。泣きながら乱れ書きにした筆跡は、それでも見事なものであった。源氏はもう一度会いたいとも思うが、この一件のもたらした災いを思い返し、強いて求めることはしなかった。
「涙河」「瀬」はいずれも相手の歌の語を受けており、贈答歌の作法が守られている。「水泡」は水面の泡で、はかない命をたとえる語として古くから用いられる。「後の瀬」は流れた先にある瀬のことで、後日の逢瀬を掛けている。相手が過去の因果を問うたのに対し、こちらは未来を否定しており、二首で時間の前後を分け合う構成になっている。
涙河:涙を河にたとえた言い方。
水泡:水面の泡。はかない命のたとえ。
瀬:川の浅瀬。「逢ふ瀬」を掛ける。
待たずて:待たないで。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌