- 歌の意味
- お別れしたときに悲しみは尽きたと思っていたのに、またこの世のつらさは増していくのだ。
- 鑑賞
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第一部 須磨
藤壺の「見しはなく」の歌を受けて、源氏が返したのがこの歌である。父院との死別で悲しみは尽きたはずなのに、そこへ流離という新たなつらさが加わったと述べている。互いに思うことは多かったが、心の乱れゆえに言葉にはならなかった。この後、源氏は月の出るのを待って北山の御墓へ向かう。
「別れし」は死別を指し、桐壺院を失ったときのことである。「尽きにしを」は尽きてしまったはずなのにという意で、悲しみの総量が限界に達していたことを述べる。「憂さ」はつらさ、苦しさのことである。悲しみは尽きたと思っていたのに更に増すという構成で、限界の先にまだ苦しみがあるという認識を示しており、相手の「かひもなく」と同じ地点に立った返しになっている。
別れし:死に別れたとき。
尽く:尽きる、なくなる。
またぞ:またもや。
憂さ:つらさ、苦しさ。
まさる:増していく。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌