- 歌の意味
- 生きている間の別れというものを知らないまま契りを交わして、命ある限りはと、その限りを人に置いていたことだ。
- 鑑賞
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第一部 須磨
出立の当日、源氏は紫の上と一日を語り明かし、例によって夜深くに発つことになる。狩衣など旅装をひどくやつして身につけ、月が出たから端まで出て見送ってほしいと誘う。泣き沈んでいた紫の上がようやくいざり出て月影の中に座る姿を見て、詠まれたのがこの歌である。紫の上はこれに返歌をする。
「生ける世の別れ」は生き別れのことで、死別ばかりを別れと思っていたという意である。「契りつつ」は約束を交わしてという意で、命ある限り添い遂げようと誓ったことを指す。「命を人に限りける」は、命の限りをそのまま相手との関係の限りとしていたということである。死別しか想定していなかった誓いが、生き別れによって崩れるという認識が述べられており、この巻の別れの性質を言い当てている。
生ける世:生きている間。
別れ:離別。ここでは生き別れ。
契る:約束を交わす。
限る:限度とする、区切りとする。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌