- 歌の意味
- 故郷を峰の霞は隔てているけれど、眺めるこの空は同じ空なのだろうか。
- 鑑賞
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第一部 須磨
舟が進むにつれ、渚に寄せては返す波を見て、源氏は帰る波がうらやましいと古歌を口ずさむ。振り返ってみれば、来し方の山は霞にはるかに隔てられ、まことに遠く来たという実感が迫った。櫂の雫にも涙をこらえがたい中で詠まれたのがこの歌である。供の者たちは皆、悲しいとばかり思うのであった。
「故郷」は生まれ育った都を指す。「峰の霞」は山の峰にかかる霞のことで、都との間を隔てる物理的な障壁を表す。「雲居」は雲のある空のことで、これまでの巻々でも宮中や高い境地を指す語として用いられてきた。隔てられていても空だけは同じかと問う形で、都とのわずかな連続性を求めており、この後の須磨の場面で繰り返される空の主題を導いている。
故郷:生まれ育った土地。ここでは都。
峰:山の頂。
隔つ:へだてる。
眺む:遠くを見やる。
雲居:雲のある空。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌