- 歌の意味
- 浦で火を焚く海人でさえ包み隠す恋なのですから、くすぶる煙には行き場もありません。
- 鑑賞
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第一部 須磨
源氏の「こりずまの」の歌を受けて、朧月夜が返したのがこの歌である。ほんのわずかな言葉だけを、中納言の君の文の中に混ぜて送ってきたものであった。参内が許され宮仕えに戻った身であるから、堂々と文を交わすことはできない。それでも思いは絶えていないことが、この短い一首に込められている。
「浦にたく」は海辺で塩を焼く火を焚くことで、相手の歌の「塩焼く海人」を受けている。「つつむ」は包み隠すの意で、人目を忍ぶ恋を表す。「くゆる」は煙がくすぶる意に「悔ゆる」を掛けており、後悔の念を重ねている。「行く方ぞなき」は行き場がないという意で、思いの出口のなさを述べている。火と煙という縁語だけで、公にできない恋の閉塞を言い切っている。
浦にたく:海辺で火を焚く。
つつむ:包み隠す。人目を忍ぶ。
くゆる:煙がくすぶる。「悔ゆる」を掛ける。
行く方:行き先、行き場。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌