- 歌の意味
- 伊勢島の潮の引いた干潟で漁をしても、貝一つ拾えず言う甲斐もないのは、この我が身なのでした。
- 鑑賞
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第一部 須磨
六条御息所の文には、思いのままに書き継がれた歌が幾首か添えられており、これはその一つである。白い唐の紙を四、五枚も巻き続けて書かれ、墨つきも見どころのあるものであった。源氏は、かつて一時の心得違いからこの人を傷つけ、伊勢へ下らせてしまったことを思い返し、今ではいたわしくもったいない人だと感じている。
「伊勢島」は伊勢の海の島々を指す。「潮干の潟」は潮が引いて現れる干潟のことで、貝を拾う場である。「いふかひなき」は言う甲斐もないという意に「貝」を掛けており、干潟の景と結びついている。前の巻の葵で用いられた「うらみてもいふかひぞなき」と同じ掛詞を、伊勢の海の景の中でふたたび用いており、この人物の詠みぶりの一貫性がうかがえる。
伊勢島:伊勢の海の島々。
潮干の潟:潮が引いて現れる干潟。
漁る:貝や魚を採る。
いふかひなき:言う甲斐もない。「貝」を掛ける。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌