伊勢人の波の上漕ぐ小舟にも
うきめは刈らで乗らましものを
- 歌の意味
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伊勢の人が波の上を漕ぐ小舟にも、つらい目に遭わずに乗ることができたらよかったのに。
- 鑑賞
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第一部 須磨
六条御息所からの文を受けて、源氏が返したのがこの歌である。折も折の便りであったから、使いの者までが親しく感じられ、二、三日引き留めて伊勢の話などを聞いた。返しの文には、こうして世を離れる身になると分かっていたなら、同じことならお供して伊勢へ下りたかったと述べられている。この一首はその文に添えられた二首のうちの一つである。
「伊勢人」は伊勢の人のことで、下向した御息所の一行を指す。「うきめ」は相手の歌の語をそのまま受け取り、海松布と「憂き目」の掛詞を引き継いでいる。「刈らで」は刈らずにの意で、つらい目に遭わずにということである。相手が伊勢での憂き目を述べたのに対し、こちらは同じ憂き目を刈らずに舟へ乗りたかったと返しており、掛詞を共有したまま仮定の形へ転じている。
伊勢人:伊勢の人。
波の上:波の上、海上。
小舟:小さな舟。
うきめ:海藻の海松布。「憂き目」を掛ける。
…ましものを:…したらよかったのに。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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