- 歌の意味
- 初雁は恋しい人々の列なのだろうか。旅の空を飛ぶその声が悲しく聞こえることよ。
- 鑑賞
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第一部 須磨
前栽の花が咲き乱れる夕暮れ、源氏は海の見える廊に出てたたずむ。沖には舟の歌う声が遠く聞こえ、小さな鳥が浮かんでいるようにしか見えないのも心細い。そこへ雁が連ねて鳴く声が楫の音に紛れて聞こえ、涙をこぼした源氏がこの歌を詠むと、供の良清、民部大輔、前右近将監が次々に唱和する。都を恋しがる人々の心はこれで幾らか慰められた。
「初雁」は秋に初めて渡ってくる雁のことである。「恋しき人の列」は恋しい人々の並びのことで、雁の列を都の人々に見立てている。「旅の空」は旅の途中の空のことで、渡り鳥である雁と、流離の身である自分とを重ねている。雁を消息を運ぶ鳥とする古い連想を踏まえつつ、ここでは列をなす姿そのものに人々の面影を見ており、この後の唱和四首の起点となる。
初雁:秋に初めて渡ってくる雁。
列:並び、連なり。
旅の空:旅の途中の空。
声:鳴き声。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌