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山賤の庵に焚けるしばしばも
言問ひ来なむ恋ふる里人

歌の意味
山賤の庵で焚く柴のように、たびたび訪ねてきてほしいものだ。恋しく思う都の人よ。
鑑賞
第一部 須磨

 須磨の住まいが長くなるにつれ、源氏は堪えがたく思うことも増えたが、自分でさえあさましいと感じる暮らしに紫の上を呼び寄せるわけにもいかないと思い返す。煙が近く立ちのぼるのを海人の塩焼く煙かと思っていたところ、実は後ろの山で柴を燻しているのだと分かり、その珍しさに詠まれたのがこの歌である。この後、冬になり雪の降る中での琴と笛の場面が続く。

 「山賤」は山里に住む身分の低い者のことである。「しばしば」は柴を焚くことに「しばしば」すなわち度々を掛けた語で、目の前の煙をそのまま歌に取り込んでいる。「言問ひ来なむ」は訪ねてきてほしいという願望である。「里人」は都の人を指す。海人の塩焼く煙という都人の想像が、実際には柴の煙であったという落差を、そのまま掛詞に転じており、配所の実際の暮らしぶりが伝わる一首である。

山賤:山里に住む身分の低い者。
しばしば:柴を焚くこと。「たびたび」を掛ける。
言問ふ:訪ねる、声をかける。
里人:里に住む人。ここでは都の人。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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