- 歌の意味
- どの方角の雲路に自分も迷うことになるのだろう。月が見ているであろうことも恥ずかしい。
- 鑑賞
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第一部 須磨
冬の夜、月がたいそう明るく差し入り、仮の住まいの奥まで隈なく照らしていた。床の上から夜深い空まで見えるほどの粗末な造りである。西に傾く月影を物寂しく眺めながら、漢詩の一節をひとりごちた後に詠まれたのがこの歌である。この後、眠れぬまま迎えた暁の空に、千鳥の鳴く声を聞くことになる。
「雲路」は雲の中の道のことで、月の通り道であるとともに、死後の魂の行方をも含意する。「迷ひなむ」は迷うことになるだろうという推量である。「月の見るらむことも恥づかし」は、月に見られていることが恥ずかしいという意で、月を見る者から見られる者へと視点を反転させている。西へ沈む月に西方浄土を重ねる仏教的な連想を踏まえつつ、自らの行方の定まらなさを述べた一首である。
雲路:雲の中の道。月の通り道。
迷ふ:道に迷う、行方が定まらない。
見るらむ:見ているだろう。
恥づかし:きまりが悪い、面目ない。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌