- 歌の意味
- 故郷をどの春に行って見ることができるだろうか。うらやましいのは帰っていく雁であることよ。
- 鑑賞
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第一部 須磨
宰相となった三位中将が、咎めを受けるかもしれないと覚悟のうえで須磨を訪れる。一夜を語り明かし、詩を作って過ごしたが、世間の噂を憚って急ぎ帰ることになった。明け方の空を雁が連れ立って渡っていくのを見て、主人である源氏が詠んだのがこの歌である。宰相はこれに返歌をし、立ち去りがたい思いを述べる。
「故郷」は生まれ育った都を指す。「いづれの春か」はどの春にという問いで、帰京の見込みの立たないことを述べる。「帰る雁がね」は北へ帰っていく雁のことで、季節が春であることを示すとともに、帰ることのできる存在として自分と対比されている。秋に渡ってきた雁を詠んだ場面と対をなしており、須磨での一年の経過が雁によって区切られる構成になっている。
故郷:生まれ育った土地。ここでは都。
いづれの春:どの春に。
うらやまし:うらやましい。
帰る雁がね:北へ帰る雁。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌