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たづかなき雲居にひとり音をぞ鳴く
翼並べし友を恋ひつつ

歌の意味
頼るもののない雲居で一人声を上げて鳴くのだ。翼を並べた友を恋しく思いながら。
鑑賞
第一部 須磨

 源氏の「雲近く」の歌を受けて、宰相が返したのがこの歌である。かたじけなくも親しくお付き合いしてきて、こうなってみるとかえって悔やまれることが多いと言い添えている。しんみりともせぬまま帰っていった後の名残に、源氏はいっそう悲しく物思いにふけって日を暮らした。この後、上巳の祓の場面へ続き、嵐が起こることになる。

 「たづかなき」は頼るところがないという意に、鶴すなわち「たづ」を響かせた語である。「雲居」は相手の歌の景を受け継ぎ、都をも指す。「翼並べし友」は翼を並べて飛んだ友のことで、源氏との親交をたとえている。相手が鶴に自らの潔白を訴えたのに対し、こちらは鶴の側に立って孤独を述べており、同じ鳥を用いながら視点を交換する形になっている。

たづかなき:頼るところがない。「鶴」を響かせる。
雲居:雲のある空。宮中をも指す。
音を鳴く:声を上げて鳴く。
翼並ぶ:翼を並べて飛ぶ。親しく交わることのたとえ。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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