海にます神のたすけにかからずは
潮のやほあひにさすらへなまし
- 歌の意味
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海においでになる神の助けにすがらなかったなら、八方から寄せる潮の合わさるあたりを漂っていたことだろう。
- 鑑賞
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第一部 明石
落雷で廊が焼け、大炊殿に移った一行は、ようやく風がやみ星の光の見えてくるのを迎える。源氏が柴の戸を押し開けて眺めていると、集まってきた海人たちが、あの風があと少し止まなければ高潮に呑まれていた、神の助けは並々ではなかったと言い合うのが聞こえてくる。それを聞いて詠まれたのがこの歌である。この直後、源氏はうたた寝の中に桐壺院の姿を見ることになる。
「海にます神」は海にいらっしゃる神の意で、住吉の神および海中の龍王を指す。「やほあひ」は八百合ひで、幾筋もの潮の流れが合わさって深くなる場所のことである。「さすらへなまし」は漂っていただろうという反実仮想で、実際には助かったことを裏から述べている。須磨巻末尾で神に潔白を訴えた源氏が、ここでは神の加護を受けた側として詠んでおり、二巻にまたがる祈りが応答を得た位置に置かれた一首である。
ます:いらっしゃる。「在す」の尊敬語。
たすけ:加護。
やほあひ:八百合ひ。潮の流れが幾筋も合わさる所。
さすらふ:あてどなく漂う。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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