あはと見る淡路の島のあはれさへ
残るくまなく澄める夜の月
- 歌の意味
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あれと見た淡路の島の、あの感慨までも残るところなく照らし出す、澄んだ夜の月であることよ。
- 鑑賞
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第一部 明石
四月になり、入道が更衣の装束や帳の帷子まで趣あるさまに調える中、のどやかな月の夜がめぐってくる。曇りなく見渡せる海の面が住み慣れた二条院の池水と見まがわれ、言いようのない恋しさが行き場もなく募る。ふと目を上げると淡路島が望まれ、古歌を口ずさんだ後に詠まれたのがこの歌である。この後、源氏は久しく手を触れなかった琴を袋から取り出すことになる。
「あはと見る」は、あれと見るという意に、地名の「淡路」の音を重ねている。躬恒の「淡路にてあはと遥かに見し月の」を踏まえたもので、「あは」の音が三度繰り返される形になっている。「残るくまなく」は隅々まで残らずという意である。「澄める」には澄むことと為すことが掛かるとされる。古歌の中の感慨までも今宵の月が照らし出すという構成で、過去の詩人の眺めと自らの眺めとが一つの月光の下に重ねられている。
あはと見る:あれと見る。地名「淡路」の音を重ねる。
あはれ:しみじみとした感慨。
くま:隅、影になった所。
澄める:澄んでいる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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