旅ごろもうらがなしさにあかしかね
草の枕は夢もむすばず
- 歌の意味
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旅の衣の裏ではないが、うら悲しさに夜を明かしかねて、草の枕では夢を結ぶこともない。
- 鑑賞
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第一部 明石
入道の「ひとり寝は」の歌を受けて、源氏が返したのがこの歌である。浦住まいに慣れた方ならそれほど寂しくもあるまいと軽くいなしながら、自らの側の寂しさを述べている。くつろいだその姿は言いようもなく魅力的であったと物語は記す。この後、源氏は娘へ文を送り、ぎこちない文通が始まることになる。
「旅ごろも」は旅の衣のことで、「うら」を導く序詞として働き、衣の裏と心のうらとを結ぶ。「うらがなし」は何となく悲しいという意で、「浦」の音をも響かせている。「あかしかね」は夜を明かしかねる意に、地名の「明石」を掛けており、相手の歌の掛詞をそのまま引き継いでいる。「夢もむすばず」は眠れず夢も見ないという意で、共寝を暗示する言い方でもある。相手が娘の寂しさを述べたのに対し、自らの独り寝を返す形になっている。
旅ごろも:旅の衣。「うら」を導く序詞。
うらがなし:何となく悲しい。「浦」を響かせる。
あかしかぬ:夜を明かしかねる。「明石」を掛ける。
草の枕:旅寝。
夢をむすぶ:夢を見る。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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