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ながむらん同じ雲ゐをながむるは
思ひもおなじ思ひなるらむ

歌の意味
あなたさまが眺めておられるのと同じ雲居を娘も眺めておりますのは、その思いもまた同じ思いなのでございましょう。
鑑賞
第一部 明石

 源氏の「をちこちも」の歌に対し、娘が筆を取ろうとしないため、父入道が代わって返したのがこの歌である。あまりに好色めいた振る舞いだと自ら断りながらの代作であった。娘本人は身分の隔たりを思い、源氏を遠い方と感じて横になったままであり、この場面の三者の距離が歌のやり取りにそのまま表れている。

 「雲ゐ」は相手の歌の語をそのまま受け取っており、贈答歌の作法が守られている。「ながむ」も同じく受け継いだ語で、一首の中に二度用いられている。「思ひもおなじ思ひ」は思いもまた同じ思いだという意で、「おなじ」を重ねる形になっている。同じ語を繰り返すことで二人が同じ空を見ていることを強調しており、当人の意思とは関わりなく縁を結ぼうとする代作者の立場がうかがえる。

ながむ:物思いにふけって見る。
雲ゐ:雲のある空。
思ひ:恋しく思う心。
…らむ:…であろう。現在推量。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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