をちこちも知らぬ雲ゐにながめわび
かすめし宿の梢をぞとふ
- 歌の意味
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遠いも近いも分からない雲居を眺めては思いわびて、ほのめかされたお住まいの梢を訪ねるのです。
- 鑑賞
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第一部 明石
入道から娘の話を聞いた源氏は、良い機会と見て岡辺の宿へ文を送る。良清がかねて心を寄せていた相手であることを思うと気が咎めもするが、まずは様子を探ろうと筆を執った。この歌はその最初の文に添えられたものである。ところが娘は文を手に取ろうともせず、代わりに父入道が返しを詠むことになる。
「をちこち」は遠い所と近い所のことで、方角も距離も分からないさまを表す。「雲ゐ」は雲のある空で、これまでの巻々でも都や手の届かぬ高みを指す語として用いられてきた。「ながめわび」は眺めては思いわびるという意である。「かすめし宿」はそれとなくほのめかされた住まいのことで、入道の言葉を受けている。「梢をとふ」は木の梢を訪ねる意で、直接に人を訪ねるとは言わない婉曲な言い方になっている。
をちこち:遠い所と近い所。
雲ゐ:雲のある空。
ながめわぶ:眺めては思いわびる。
かすむ:それとなくほのめかす。
梢:木の枝の先。
とふ:訪ねる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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