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はるかにも思ひやるかな知らざりし
浦よりをちに浦づたひして

歌の意味
はるか遠くからあなたを思いやることだ。見も知らなかった浦から、さらにその先へと浦伝いに移ってきて。
鑑賞
第一部 明石

 明石入道の迎えを受けて明石の浦へ移った源氏は、心が少し落ち着くと京へ幾通もの文を送る。中でも二条院への返事は、書いては置き書いては置きして涙を拭いながら書かれたもので、その様子は他の相手への文とは明らかに違っていた。この歌はその文に添えられたものである。供の者たちも、その筆の乱れように主人の思いの深さを察するのであった。

 「はるかにも」は遠く隔たっての意である。「知らざりし浦」は見も知らなかった浦のことで、須磨を指す。「をち」は遠方、その先の意で、須磨からさらに遠い明石を表す。「浦づたひ」は浦から浦へと海岸沿いに移ることである。同じ「浦」の語を二度用いて距離が重なっていくさまを示しており、都から遠ざかり続ける身の位置を、地名を出さずに地形の語だけで述べている。

はるかなり:遠く隔たっている。
思ひやる:遠くから案じる。
をち:遠方、その先。
浦づたひ:浦から浦へと海岸沿いに移ること。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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